中国・遼北専用線を訪ねて

按城狩也

中国東北部、瀋陽郊外の調兵山一帯に線路を張りめぐらせている遼北専用線を、北京経由で2002年12月30日から2003年1月3日まで訪問した。夏の同線は01年訪れているが冬はこれが最初、真冬の東北部は寒いと言われながらも、北の黒龍江省ならともかく南の遼寧省だから、今までの自分の経験からしても大した寒さではないと思っていた。ところが現地は連日-20度〜22度の当地としては珍しい酷寒。カメラが異常な反応を見せ、これは到底満足に写っていないだろう、いや写真を撮ったとは言えない状態で仕上がるだろう、と思って一瞬シャッターを押すのがためらわれたが、いや待て、もしも万が一写っていればと思い、正常に作動しているならば、と言う藁にもすがる思いで一応「普段通り」にシャッターを押し、帰国後恐る恐る写真屋にフィルムを出した。出来を直視出来なかったが、勇気を奮って仕上がった写真封筒を開けた。あっ!どういう訳か、全ての写真が正常にプリントされていた。これは一体どういう事であろうか。ともかく凍てつく-20度以上の世界で撮影した写真をご覧いただきたい。同専用線は、上游型で全列車が運行され本数も多く、トンネルや丘陵もあり変化に富んでいる。まず遠くの山に白煙が上がりそれが山裾を縫うように段々と近づき相当な迫力をもって接近、青空に吹き上げる白煙、ブラスト、動輪の響き、続く客車群。日本ではもう30年近く前に見られなくなった、懐かしく勇壮な光景が今自分の前に展開される。まさに「興奮のお立ち台」であり、極めて印象深い。使われている機関車は全て、日本でいう昭和末期から平成11年までに製造された新鋭機、ここでは蒸気機関車は決して過去の時代の物でなく、特別の物や珍しい物でもない。全く普通に通勤列車を牽き、長大な貨物それも石炭列車の先頭に立ち、輸送の最前線で力闘している。誠に頼もしい、蒸気機関車の撮影研究を生き甲斐とする私にとって、かけがえのない注目の鉄道である。機会があったらまた訪れたいところである。


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